知って納得!外国人患者さんが時間に遅れがちな理由


外国人患者さんが、外来の予約時間に来ない、入院予定時間になっても一向に現れない・・・

約束していた時間までに必要なことをしてくれていない・・・。

ヤキモキした経験はありませんか?

私はあります。

病棟勤務時代、外国人患者さんを受け持つと、予定通りに物事が進まず、苦い思いをした経験がたくさんあります。

正直なところ、「時間にルーズ」「いいかげん」、時間通りに行動してくれない患者さんに対してこのような印象を抱くこともしばしばありました。

しかし、本当にこのような言葉で片付けてしまって良いのでしょうか。

実は、時間に関して、それぞれの国の文化の違いが大きく関係しているようです。

今回は、時間に対する考え方の違いについてご紹介します。

直線的な時間と柔軟な時間

ビジネスコミュニケーションにおける文化の違いを可視化した「カルチャーマップ」を開発した、INSEADの客員教授・Erin Meyerさんは、スケジュールに関して様々な国を水平な直線上に位置付けています。

直線的な時間(Linear-time)

代表的な国:ドイツ、日本、スイス、スウェーデン、デンマーク、アメリカ、イギリスなど

特徴:物事は一連の流れで進んでいき、次が始まる前に一つのことが完了する。

一度に行うことは一つだけ。中断しない。

締め切りに焦点を当て、予定を守る。

柔軟さよりも段取りや迅速さに重きを置く。

柔軟な時間(Flexible-time)

代表的な国:サウジアラビア、ケニア、ナイジェリア、インド、中国、ブラジルなど

特徴:物事は流動的に進んでいく。

たくさんのことが一度に起こり、中断することもある。

準備より適応性や柔軟性に重きを置く。

実際には、世界の国々が上記2つの時間に分かれるわけでなく、それぞれの国が軸の上で並んでいるイメージです。

時間を最も直線的に捉えるのはドイツ人、その隣が日本人、次にアメリカ人、次にイギリス人・・・最も柔軟なのがサウジアラビア人、といった具合に。

MタイムとPタイム

こちらも、同氏の著書「THE CULTURE MAP」の中で紹介されており、アメリカの文化人類学者Edward T. Hallさんが提唱した、時間に関する考え方の分類です。

Mタイム(Monochronic-time):単一的時間

代表的な国:アメリカ、カナダ、北欧圏など

特徴:一度に行う(集中する)ことは一つだけ。

時間は有限で高い価値がある。

人間関係よりスケジュール厳守。

物事は一つ一つ順番に起こる。

Pタイム(Polychronic-time):多元的時間

代表的な国:南米、アフリカ、アジア、アラブ諸国など

特徴:同時に複数のことを行う。

時間より人間関係が重視され、マルチタスクに価値がある。

色々なことは同時に起こり、突発的にも起きると考える。

時間に柔軟。

実体験から

上記の考え方が、実体験と重なる部分はありませんか。

外来の予約時間はとっくに過ぎているのに、付き添いの友人と話しながらのんびり来院するインド人の患者さん。

入院予定時間を1時間以上過ぎてやっと来院するも、全く悪いと思っていないサウジアラビア人の患者さん。

約束の時間にこちらが訪室しても、お構いなしで家族との電話を優先させる中国人の患者さん。

これら全部、私たち日本人とは時間に対する考え方が違うからなんです。

予定はあくまで予定であって、複数のことが突発的に起こると認識しているのです。

時間に対して柔軟な考え方を持っているので、周りに対しても寛大な方々だといえます。

この違いを知っているだけで、時間に遅れがちな外国人患者さんに対する見方が変わる気がしませんか。

日本ってどうなの?

時間に対しては、私たち日本人の感覚も、実はかなりユニークなものだと思いませんか。

幼い頃から5分前行動の大切さを教えられ、時間厳守!

かと思いきや、ミーティングや仕事が終わる時間は大幅に遅れることがしばしば。

始まりの時間には厳しいけれど、終わりの時間にはルーズ・・・。

直線的な時間かつMタイムで進みつつも、義理や人情など人間関係が重視されるPタイムの要素があるようにも思えます。

時間に対する考え方は、一つではないこと。

私たち日本人の常識が世界の常識ではないこと。

これを理解した上で、日本人の良さを大切にしつつ、寛大な心で外国人患者さんと関わりたいものですね。

今回は、英語から離れ、時間に対する文化の違いをご紹介しました。

参考:ERIN MEYER 『THE CULTURE MAP』

文化の違いをより深く理解するために、こちらの本がおすすめです。

英語版ですが、文章の多くが難しすぎない表現になっているので、英語の勉強にもおすすめです。

英語を学びながら文化の違いも学べる、まさに一石二鳥な本だと思います。

ちなみに、こちらが日本語に翻訳されたものです。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

 

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